CALENDAR
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      
<< April 2017 >>
SPONSORED LINKS
RECOMMEND
NEW ENTRIES
RECENT COMMENTS
ARCHIVES
MOBILE
qrcode
LINKS
PROFILE
OTHERS
 
ブログやるならJUGEM
<< 第46回:「警固断層でM7.2の大地震が発生したら」 | main | 第48回:「マンションの防災対策」 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - | pookmark |
第47回:「洪水の被害想定:死者3800人も」
皆さん、こんにちは。「しぶさん」こと、渋谷和久@国土交通省です。平成17年8月、アメリカで「ハリケーン・カトリーナ」による災害で大きな被害が出たのは、皆さん覚えておられると思います。死者・行方不明者1000人以上、浸水家屋約16万戸、浸水面積374平方キロという被害でした。

わが国では、東海地震などの大地震による被害想定は公表されていますが、洪水による被害想定はこれまでありませんでした。中央防災会議では、「大規模水害対策に関する専門調査会」を設置し、大規模水害発生時の応急対策等の検討を行うため、利根川を題材に、利根川が氾濫して大規模な水害が発生した場合に想定される死者や孤立者の数、浸水想定時間に関する被害想定をとりまとめ、先月25日に公表しました。水害による被害想定の公表は、国内では初めてのことです。
http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/suigai/080325kisya.html

まず、浸水継続時間です。昭和22年のカスリーン台風では、東京の江戸川区、葛飾区が20日間にわたって浸水しました。ハリケーン・カトリーナではニューオーリンズ市内は43日間も浸水しています。

大雨の際、街中にあふれた内水を排除する必要があるところには排水ポンプが設置されていますが、大きな河川が氾濫すると、浸水によって運転が停止することがあります。ハリケーン・カトリーナのときは、8割以上のポンプ場が停止しています。

利根川が氾濫した場合はどうなるのでしょうか。カスリーン台風と同規模で200年に1回発生する大洪水により、埼玉県大利根町で堤防が決壊した場合を想定しています。排水施設が稼動しないケースでは、堤防決壊から3日後には、約180万人の居住地域が浸水します。東京の江戸川区では3m、足立区や葛飾区でも、2m以上浸水するところがでてきます。1週間たっても、約160万人の居住地域(約310平方キロ)が浸水し、その後も浸水が継続します。排水が進まないため、1か月過ぎても、約150万人の居住地域が浸水したままです。排水施設が全て稼動するケースでも、堤防決壊から1週間後で約20万人の居住地域(約120平方キロ)が浸水し、浸水面積の95%の排水が完了するまでに約3週間もかかると想定されています。相当長期間にわたって浸水が継続することがわかりますね。

次に、想定される死者数です。決壊する堤防の位置を変えて、いくつかのパターンで試算しています。死者数が最大だったのは茨城県古河市の堤防が決壊するパターンで、仮に4割の人が避難したとしても、排水施設が稼動しない場合は、死者数は約3800人に達します。排水施設が全て稼動する場合でも、約3500人。相当な被害です。この決壊パターンの場合、浸水区域に高さ5メートル未満の戸建て住宅が多いことが影響すると考えられます。

避難率が高まったらどうなるでしょうか。避難率80%の場合は、ポンプ運転がない場合1300人、ある場合1200人と、死者の数は1/3程度まで減らせます。内閣府と国土交通省が平成18年に、荒川浸水想定区域内の住民を対象に実施したインターネットアンケート調査結果によると、避難率の平均値は46%とされていることから、今回の想定は40%をベースにしています。しかし、過去の実際の災害では、平成16年の新潟豪雨で19%(見附市)、同年の台風23号豊岡水害で33%と、必ずしも高い数字でないことが気になります。避難率を高めるには、水害の切迫性を伝える各種情報提供や避難勧告等を効果的なタイミングで行うだけではなく、洪水ハザードマップの整備や避難訓練の実施等、普段からの備えが大切だと思います。

最近は異常気象なので、想定外の規模の洪水を覚悟しなければならないかもしれません。想定している、200年に1度の規模の洪水の2割増の洪水量だとした場合、浸水面積は1.1〜1.3倍程度ですが、死者数は1.8〜2倍近くになると試算されています。

最後に、孤立者の数です。埼玉県大利根町で堤防が決壊し、警察、消防、自衛隊が関東地方に有する全てのボート数(約1900艇)に相当するボートを用いて救助活動を実施した場合を想定しています。避難率が40%として、排水施設が稼動しないケースで、孤立者は最大約64万人。そのうち、約48万人が要救助で、救助の完了は14日後。排水施設が全て稼動するケースでも、孤立者は最大約48万人。要救助12万人を4日後に救助完了と想定されています。

今回の想定結果をもとに、今後、国では、被害軽減を図るため広域避難体制、孤立者の救助体制等の検討を行い、大規模水害対策をとりまとめる予定です。今年も、あと1月半ほどで、雨の多い季節になります。普段からの備えをきちんと行うことが必要ですね。

九州地方整備局では、毎年5月に大規模な水防演習を実施します。今年は5月11日に、嘉瀬川の河川敷で、佐賀県総合防災訓練と共同で開催する予定です。
http://www.qsr.mlit.go.jp/takeo/kisya/kisya20/200324.pdf

それではまた来週。

********
渋谷和久(国土交通省九州地方整備局総務部長)
内閣府防災担当企画官、国土交通省都市計画課室長を経て、平成18年7月より現職。
関西学院大学災害復興制度研究所客員研究員。日本自然災害学会、地域安全学会、災害情報学会会員。日本災害復興学会理事、NPO法人「都市災害に備える技術者の会」企画委員、「東京いのちのポータルサイト」理事、「京都災害ボランティア・ネット」理事。
単身赴任2年目で、平日は福岡のおいしい魚と焼酎を堪能し、休日はエアロビクスで汗を流す。
| - | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
スポンサーサイト
| - | 09:00 | - | - | pookmark |









http://snsinstyle.jugem.jp/trackback/51