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第32回:「年のはじめはゲームから:クロスロード」
 皆さん、こんにちは。「しぶさん」こと、渋谷和久@国土交通省です。今年もどうぞよろしくお願いします。

 来週の1月17日、阪神・淡路大震災から13年目を迎えます。毎年この時期、被災地では慰霊と鎮魂の祈りが捧げられます。数年前の1月17日の夜、私は神戸市の東遊園地を訪れました。たくさんの灯りがともされる中、ポストイットに書かれた多くのメッセージの1つひとつを読ませていただきました。「○○ちゃん、お姉ちゃんは今年も来たよ。命ある限り毎年必ず来るね」と書かれたのを見て、涙が止まりませんでした。幼い弟さんをなくされた方でしょうか。行政は、「6434名」とひとくくりにしてしまいがちですが、そのお一人おひとりの命がとても重たいのだという、当たり前のことを忘れてはいけない、ということを肝に銘じた瞬間でした。今年も、そうした思いで、安全・安心のために微力を尽くしたいと思います。

 今度の週末、1月13日に、「日本災害復興学会」という学会が立ち上がります。人間を中心とした復興のあり方を考える、それはひいては減災も含めた総合的な防災学につながる、との思いから設立されるものです。私も理事の1人として、記念イベント等の裏方を務めるべく、この週末は兵庫に行きます。
http://www.fukkou.net/column/20080113-22.html

 さて、13年前、阪神・淡路大震災の被災地では、様々な苦労がありました。震災直後の現場で、市役所の職員、消防隊、ボランティア、一般市民等々が、難しい判断を迫られる場面がたくさんありました。京都大学の研究チームが、災害対応にあたった神戸市職員へインタビューを行い、その内容をもとに、市職員が経験した「ジレンマ」の事例が、カードゲーム化されているのです。年のはじめですので、皆さんと一緒に、少しこのゲームを体験してみましょう。

これは、災害対応カードゲーム教材「クロスロード」と呼ばれるものです。
http://www.bousai.go.jp/km/gst/kth19005.html

「クロスロード」とは、「重大な分かれ道」という意味です。ゲームの参加者は、カードに書かれた事例を自らの問題として考え、YESかNOのカードで自分の考えを示すとともに、参加者同士が意見交換を行いながら、ゲームを進めていきます。

 例えばこの問題はいかがでしょうか。

「あなたは食料担当の職員です。避難所には3千人が避難していますが、確保できた食糧は2千食しかなく、それ以上確保できる見通しもありません。さあ、あなたは、それでもその2千食を配りますか?」

 「配る」という人はYES、「配らない」という人はNOのカードを出します。お互いにその理由を述べ合う中で、様々なことに気付くことができます。不足することに伴う混乱を回避するには、時間がかかっても、全員の分が確保できるまで配らない方がよいと考える人はNOになります。せっかく確保できた2千食を配らないのはそれこそ無駄だと考える人はYESになります。今このゲームをすればYESと答える人が多いのでしょうが、実際の避難所の雰囲気を経験された方など、NOとする人も少なからずいるのです。

 上記の事例は、まさに「あちら立てばこちらが立たず」という、非常にむずかしい意思決定だと思います。YESにもNOにも、それぞれ理屈とそれを支える価値基準があります。多様な価値基準があることに気付くことが、このゲームの狙いです。

災害対応においては、必ずしも正解があるわけではありませんし、また、実際に対応された状況が常に正解でないこともあります。ゲームを通じ、それぞれの災害対応の場面で、誰もが誠実に考え対応すること、また、そのためには災害が起こる前から考えておくことが重要であることに気づくことが大切なのです。

 ゲームの開発者である慶應義塾大学吉川研究室が「クロスロード新聞」というweb新聞を発行しています。その中で、実際の回答傾向が紹介されています。食料を配るかどうか、YESが67%、NOが33%だったそうです。
http://maechan.net/crossroad/document/shinbun3.pdf

 このほかにも、「仮設住宅用地が不足している。公立学校の運動場を使っていいか?(学校教育の早期再開という別の要請を考えると悩ましい。)」「援助物資の古着が余った。焼いて処分していいか?」など、難しい判断を迫られる問題が数多く用意されています。

 次の問題はいかがでしょうか?「あなたは遺体安置所の責任者です。増え続ける遺体に対して、作業員はわずか数名。作業はまったく追いつかないが、長時間連続の作業で既に身体はクタクタである。いったん休憩しますか?→YES(休憩する)/NO(しない)」

 今このゲームを実施すると、8割以上の方がYESと答えますが、13年前、神戸市職員の多くは休憩をほとんどとらずに、不眠不休で作業にあたられ、心身に少なからずダメージを受けた方もいらっしゃったようです。本当に難しい問題です。

 年のはじめにあたり、このようなゲームを通じて防災について考えるのもいいかもしれませんね。それでは、また来週。

********
渋谷和久(国土交通省九州地方整備局総務部長)
内閣府防災担当企画官、国土交通省都市計画課室長を経て、平成18年7月より現職。
関西学院大学災害復興制度研究所客員研究員。日本自然災害学会、地域安全学会、災害情報学会会員。災害復興学会理事、NPO法人「都市災害に備える技術者の会」企画委員、「東京いのちのポータルサイト」理事、「京都災害ボランティア・ネット」理事。
単身赴任2年目で、平日は福岡のおいしい魚と焼酎を堪能し、休日はエアロビクスで汗を流す。
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