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第28回:「トルネード(竜巻)を捕まえろ」
 皆さん、こんにちは。「しぶさん」こと、渋谷和久@国土交通省です。

 今日は竜巻のお話です。昨年9月17日、宮崎県内で台風に伴って竜巻災害が発生しました。延岡市、日向市、日南市で発生しています。一番被害の大きかった延岡では、死者3名、負傷者143名、全半壊住宅400棟超という大きな災害になりました。

 その後、11月7日には、北海道佐呂間町で、寒冷前線に伴って竜巻が発生、死者9名という大きな犠牲を伴う災害になったことは、記憶に新しいと思います。

 日本では、竜巻が毎年20個近く発生しています(アメリカでは1000個近くも発生するそうです)。発生件数が多いところは、鹿児島、沖縄、北海道、宮崎というあたりですが、九州各地で毎年のように発生しており、福岡県内でも、数年に1度程度の割合で発生しています。1999年8月には八女市で、ビニールハウス3棟全壊の被害が出ています。市街地で発生した例としては、1974年8月、福岡市中央区地行で屋根瓦400枚破損の被害が出ています。また、竜巻は季節を問わず発生しています。

 竜巻は、上空と地上の温度差が大きくなると発達する積乱雲によって発生します。積乱雲の中の強い上昇気流が何らかの原因で回転すると、竜巻(渦巻き)が発生しやすくなると言われています。竜巻では、自動車が吹き飛ばされるほどの突風が吹くことがあります。直接吹き飛ばされる危険に加え、風に吹き上げられた石や瓦などの飛散物によって被害が拡大するのが特徴です。昨年の延岡市での竜巻は、約5分の間に大きな被害をもたらしました。この竜巻は、時速約90kmで移動したと言われています。

竜巻の強さはFスケールで表します。延岡市の竜巻はF2(風速50〜69m)と言われています。住宅の屋根や自動車が吹き飛ばされ、また列車が脱線することもあります。一方、佐呂間町での竜巻は、我が国最大級のF3(風速70〜92m)と言われ、このスケールだと、住家は倒壊、プレハブなどの簡単な建物はバラバラになって飛散し、鉄骨づくりでもつぶれてしまいます。自動車も上空に持ち上げられて飛ばされてしまいます。

気象庁では現在、全国1300カ所にあるアメダスの観測データや気象レーダー、コンピューターを使った数値予報で、1キロ四方の「降水短時間予報」を6時間先まで出しています。雨や台風については、こうした観測網で、詳細な予報ができるようになっていますが、竜巻は数十〜数百メートルと規模と小さいため、それ自体は観測機器でとらえられません。しかも寿命も数分から十分程度と短いこともあって、竜巻を予測し注意報などを出すことは困難と考えられていました。しかし、アメリカでは、「ドップラーレーダー」と呼ばれる高性能気象レーダーを全米160カ所近くに配備し、24時間体制で監視、積乱雲の動きから竜巻を予測するシステムを作り、住民に警報や避難勧告を出しています。私もアメリカに留学中、テレビを見ていると突然番組が中断されて、「トルネード・ウオッチ」という警報が流れてきたのを何回か経験しました。

 我が国でも、相次ぐ竜巻被害を受けて、観測網を強化することになりました。気象ドップラーレーダーは、東京と新潟の2カ所にしか設置されていませんでしたが、昨年度と今年度で、9カ所に整備、これによりほぼ全国的な観測網が整うことになります。

 上に書いたとおり、竜巻そのものはレーダーで捕捉できません。ただ、竜巻の発生は、巨大な積乱雲(スーパーセル)によるものと、局地的な前線によるもの(我が国の竜巻の大半がこれ)があり、前者の場合、原因となる積乱雲の中に、直径数十km、寿命1時間程度の大きな渦(メソサイクロン)を伴うものがあり、こうした巨大渦は、ドップラーレーダーで観測することが可能になります。気象庁は、これに基づき「突風短時間予測情報」といった新たな情報提供を開始することができないか、検討委員会で検討を行っています。
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/toppuu/index.html

先週、第2回の委員会が開催され、来年3月までに、竜巻発生の直前(1時間ほど前)に、「竜巻など突風の恐れが高くなっています。積乱雲が近づく兆しがある場合には、頑丈な建物内に移動するなど、安全確保に努めてください。」などという「突風に関する気象情報」を提供する方向で準備することになりました。今週はじめの新聞で報道されていましたので、ご存知の方も多いと思います。さらに、より詳細な、10分刻みで1時間先まで予測する突風の「短時間予測情報」を、平成22年度に提供開始することを目指すとしています。

 竜巻を予測することが困難である状況は変わっていません。しかし、技術的に非常に難しいことであればあるほど、最初から完璧を求めず、まずはできることから開始し、ひとりでもふたりでも人命が救えるよう、情報提供を開始することが重要ではないか、との考えから検討が行われています。私たちも、すべての竜巻が予測可能ではないことを十分認識しながらも、情報が提供された場合は、安全確保の対応をとることが大切です。

 さて、竜巻から身を守るには、屋内にいる場合は、とにかく窓を開けないこと、窓から離れることが大切です。窓にカーテンを引く、雨戸やシャッターを閉めるなどして、一刻も早く家の中心部に近い、窓のない部屋に移動します。2階などにいると危険なので、建物の一番下の階に移動しましょう。地下室だと、より安全です。屋外にいる場合は、近くの頑丈な建物に避難しましょう。車庫や物置、プレハブなどは、それ自体が飛ばされる可能性があるので、かえって危険です。どうしても避難場所がない場合は、近くの水路とか窪みに身を伏せ、両腕で頭と首を守る姿勢をとります。

ところで、竜巻について世界で最も進んだ研究をしたのは、日本人なのです。シカゴ大学教授だった藤田哲也博士です。竜巻の強さの「Fスケール」は、藤田博士が考案した「藤田スケール」のことで、今や世界標準になっています。実は、藤田博士は北九州市小倉南区の出身で、福岡県と縁があるのです。

それでは、また来週。

********
渋谷和久(国土交通省九州地方整備局総務部長)
内閣府防災担当企画官、国土交通省都市計画課室長を経て、昨年7月より現職。
関西学院大学災害復興研究所客員研究員。日本自然災害学会、地域安全学会、災害情報学会会員。NPO法人「都市災害に備える技術者の会」企画委員、「東京いのちのポータルサイト」理事、「京都災害ボランティア・ネット」理事。
単身赴任だが、福岡のおいしい魚と焼酎を堪能中。
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